鷹見泉石像

三河国田原藩(現在の愛知県東部・渥美半島にある田原市)の家老であった渡辺崋山(1793-1841)が描いた天保8年(1837年)、鷹見泉石53歳の時の肖像画。渡辺崋山45歳のときの作品。鷹見泉石は下総国古河藩(現在の茨城県古河市)の家老で、蘭学者でもあった。渡辺崋山とは蘭学者仲間の関係にあった。

烏帽子と服は線描を使った日本の伝統的な画法で描かれている一方、顔の描写は西洋の陰影法や彩色法を用いた写実的な技法を取り入れ、対照的な画法を違和感なく融合させた日本肖像画史上の金字塔である。人物の内面まで感じさせる高い完成度を持つ近世画の傑作として知られる。

所蔵は東京国立博物館。1950年(昭和25年)の文化財保護法施行から間もない1951年国宝に指定。現在、日本の国宝指定されている絵画作品において、製作された時期が最も新しい国宝である。あまり頻繁にではないが、数年に一度ほど特別展や通常展において一般公開されることもある。

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