帷幄上奏

明治憲法の下では、憲法慣習として統帥権は内閣の意思から独立しており、軍の統帥に関する事項について、陸軍参謀総長、海軍軍令部長、陸軍大臣、海軍大臣、教育総監などが閣議を通さず直接天皇に上奏した。一般の大臣は、内閣総理大臣を経て上奏することになっていたことから、陸海軍大臣は特例として単独上奏権が認められていた。

実質的には法制化される以前、1878年の参謀本部の太政官政府からの独立で始まり、85年の太政官制廃止に伴う内閣職制によって参謀本部長の帷幄上奏権が認められた。明確に法制化されたのは89年の内閣官制第7条。帷幄は陣営に用いる幕ことで、転じて軍を指揮し作戦をめぐらす本陣(戦陣)を表した。

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